とまのす

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鹿たちについて回った話|岩手県 都鳥鹿踊

今回は、最近たまに見におじゃましている「行山流(ぎょうざんりゅう)都鳥鹿踊(とどりししおどり)」さんの話。

2025年11月3日、秋の藤原まつりで踊るよ!ということで、そこに付いて回らせていただいたのでその時のことを書いていきます。

 

鹿たちについて回る

2025年 秋の藤原まつり。この日の都鳥鹿踊さんは、10:30に平泉駅前で踊るのを皮切りに2時間後には毛越寺、さらにその2時間後には中尊寺で…というスケジュール。

都鳥鹿踊の地元である南都田で各自の車に道具などを乗せて平泉へ向かった。

平泉駅前

平泉駅に着くと駅前に平泉観光協会があり、都鳥の皆さんが挨拶に行く。

観光協会の方が「ちょうど、上りと下りの電車がほぼ同時に駅に着く時間があるから。その時が一番駅から人が出てきますよ」と教えてくれた。

が、その時間が演舞予定の10:30より微妙に早い…!上下の電車の同時到着が迫る中「余裕もって出たはずなのに、なんか、なんで余裕ないんだ?」と急いで装備を整える鹿さんたち。

 

もはや到着ベルが鳴って、なんかちょっと間に合ってないけど「これから何か始まるぞ感」で降りてきた人たちが足を止めてくれれば…と、装束が整った人から太鼓をたたき始める。そして全員が着替え終わるのとほぼ同時に駅前へ!というスリリング(?)なスタートとなった。

駅前で踊ったのは礼舞(れいまい)。あとで確認したところ、都鳥鹿踊の礼舞には一番庭・二番庭・三番庭と呼ばれるものがある。今回のは三番庭だそうだ。

鹿踊の演目の名前や内容は団体によっていろいろなので…礼舞を「礼庭」と呼ぶところや最初は必ず一番庭を踊るところ、踊りの中で一番庭だけが礼庭と呼ばれるところなど微妙な違いはある。

しかし、礼舞が「踊りに必要な動きが詰まった基本の踊り」であるというのは、多くの団体さんに共通する部分らしい。

動画、めちゃくちゃ短いけどどうぞ。


www.youtube.com

 

毛越寺へ

駅前での踊りが終わると、すぐさま着替えて毛越寺(もうつうじ)へ。

毛越寺は慈覚大師(円仁)が建立した天台宗の寺院だ。はじめは1つの堂宇だけだったが、奥州藤原氏の基衡(2代目)・秀衡(3代目)が伽藍をたくさん建てたことで広大な寺院となった。

このあたりは松尾芭蕉が有名な「夏草や 兵(つわのも)どもが 夢のあと」の句を詠んだ地。境内には、句碑も建てられている。芭蕉が訪れたころ、このあたりはどのような風景だったのだろうか。

 

さて、裏のほうで装束をつけているのを見せてもらいつつ、簡単な部分は「こことここを結ぶんだよ」と教えてもらいつつ。バタバタとした中でも、ふと見る紅葉がとてもきれいだった。鹿に紅葉、良いものですね。

そして本堂前に入っていき、本堂に礼。この日は非常に風が強かったので、旗持ちを任せていただいた管理人は必死に旗を押さえていた。

きっと長い長いササラを付けた鹿さんたちも大変だったのではと思う…。

中尊寺へ

そんなこんなで、藤原まつりへの出演としては本日最後の舞台・中尊寺へ。

中尊寺は毛越寺と同じく慈覚大師(円仁)が創建したとされる寺院。そこに奥州藤原氏初代・清衡さんが伽藍を造営してパワーアップさせたので「中尊寺は清衡が造営した」というイメージを持っている人もいるだろう。

清衡さんは前九年・後三年の役で多くの争いや死を経験したので、この伽藍造営は「東北での戦で失われたすべての命」への供養であり不戦への願いだったともいわれている。

 

広々していた毛越寺の本堂前とは違い、中尊寺の本堂前は「まさに観光地」という混み具合。「例年よりは少ない」とは聞いたが、結構踊る範囲ギリギリまで見ている人がたくさんいた。

外国の方・初めて鹿踊を見る県外の方…いろんな人から「これは何ですか?」「地元ですか」等と聞かれる管理人…。

わかる。自分も、祭りに行くと舞い手に話しかけていいかわからないから関係者っぽいけど忙しくなさそうな人に話しかける…。

「鹿を模した衣装で踊る儀礼的な踊りで…」「県内だけでも複数の団体があって…都鳥鹿踊は、ここから車で30分くらい北に行った胆沢の鹿踊です」と、たどたどしい説明をしては冷や汗をかいていた。語学力と社交性が欲しい。

いや、むしろ英語版・中国語版とかの簡易パンフレットも欲しい。

 

あとは、見ていた人の中に御花代を渡したいと言ってくださった方もいて、仲立さんにあわてて声を掛けに行ったりもした。

本来であれば、御花代(おひねり、ご祝儀)を渡された際は謝意を示す踊り(投げ草)をするものだが、イベントごとに呼ばれて踊っているタイミングではなかなかそれができない。

それでも「なんか珍しいのやってる。写真撮っとこ」とかでなく御花くれるなんてうれしい。もしや芸能をやっている人…?

 

毘沙門堂、再び

そんなこんなで中尊寺を後にして藤原まつりでの演舞は完了…と車に乗ったが、実はこれで終わりではない。

この日は以前の記事で訪れた達谷窟毘沙門堂の別當 達谷西光寺さんで行われる「天王月例祭」。毎月3日に行われる法要だ。

都鳥鹿踊と関わり深い寺院で、法要が終わった後で毘沙門堂前で踊る予定とのこと。

夏に来た時とはまた違い、紅葉に包まれた境内が美しい!

しかし、中尊寺エリアからは少し離れていることもあり参拝客はまばらである。もちろん奉納であるから神様に見ていただくのだとはいえ、少し寂しいか…?

と思い、近くで鳥居をくぐって帰ろうとしている人に「これから鹿踊がありますよ」と控えめに声を掛けてみる管理人。

 

すると、鹿さんたちの着替えが終わり、毘沙門堂へ!というときに、でっかい観光バスが到着!タイミングが神!

これは観光会社がすごいのか西光寺さんの力なのか、それとも偶然…?

めっちゃたくさんの外国の方が次から次へと降りてきて、境内はあっという間ににぎわった感じになった。スゴイ!

 

演目のこと

ここまで寺院の話も多かったので、ここらで演目の内容についても触れておこうと思う。

最初に踊ったのは「礼庭」というものだったが、毘沙門堂前で踊ったのは、唐金(からかね)という演目。

雄の鹿たちが女鹿(めじし)をめぐって戦うという筋書きの「女鹿かくし」の一つだ。(女鹿かくしは、鹿踊はもちろん一人立ち獅子舞(1人が1匹を演じる獅子舞)でもよく見られる)

 

儀礼的な演目でなく、演劇のように「それぞれの鹿に役があって、スジがある」という分かりやすいもので迫力もある。娯楽的要素が強いので余興舞ともいうそうだ。

なので、「普段あまり芸能を見てまわらない」という人も、一度内容が分かれば楽しみやすいのではと思う。

 

で、基本的に女鹿かくしには「女鹿にちょっかい掛けたい雄鹿」と「女鹿を守る雄鹿」そして「女鹿」がいる。

管理人は旗を持っていた関係で鹿のド背後からの撮影になってしまって申し訳ないけれど、実はこのアングル、鹿に感情移入しやすいアングルかもしれない。

こちらから見ると、一番奥に女鹿がいる。そして、そのそばに2匹のディフェンス。そこへ、女鹿会いたさに手前から向かっていく鹿。

まず、この動画①のほうは、攻めてみたもののディフェンスが固いパターン。


www.youtube.com

 

そして、こちらの②はディフェンスをかいくぐって後ろから女鹿を誘い出すことに成功するパターンだ(連れ戻されちゃうけどね)。


www.youtube.com

それぞれ、鹿同士の動きの掛け合いが面白い。どんな場面かなんとなくわかるだけでも、だいぶ見るときに楽しみやすくなるのではないだろうかと思う。

 

おわりに

これで無事に11月3日の出演は完了。

今回は、何度も装束の付け外しが見られたことが管理人的大収穫。

団体や役どころによっても変わってくると思うが、太鼓系鹿踊の装束はすべて合わせて15kg前後あると言われている。

これが手ぬぐいや紐で「結ぶ」ことだけでしっかりと固定されていく様子には、毎度とても感心する。

 

ただ、やはり装束がズレることはある。以前に別の鹿踊を見に行った時も「頭下げた瞬間にカシラが前にズレて、実は途中からほぼ何も見えてなかった」といった話も。

今回も、実はカシラがズレる・紐がほどけるなどあったのだが、幕の中でアレコレしてなんとか踊りながら切り抜けられるのスゴイ…。

 

ちなみに、紐や手ぬぐいの結び方なども「すべて決まっている」というわけでなく「こうしたらズレにくいみたい」を繰り返しつつ各自対策を練っている様子だった。

鹿踊は団体間の交流も盛んな印象があって、団体内はもちろん、他の地域の団体さんとの交流が増えることで「これってどうしてる?」を話せる相手や場所が増えて、「これよさそう」が増えていくのって良いことだなーと思ったのだった。

 

余談:旗の妖怪

(鹿踊の話は全然出てこないので、暇な方だけ読んでね)

今回は、旗持ちという貴重な体験もさせていただいたわけだが…管理人は、もともと何をやってもキマらないタイプの人間なわけ。写真とか9割は半目になる。

だから、「変な様子で都鳥さんのご迷惑になっていないか」が気になってSNSで調べたんですよ。「藤原まつり 鹿」って。そしたらすべての写真がこんな感じ↓でね。

まず、チョイスしたズボンが旗の色と完全に同化

で、個人的に「旗が翻っちゃってて団体名みえない」とかもったいないと思うから、旗自体(旗の上端の軸みたいなやつ)も持ってたわけ。

その結果、すべての写真が顔と上半身が全く見えない「妖怪 旗女」になってたんですよね…これが。

 

完全に様子がおかしくて申し訳なかった…と思う管理人でした。

では、今回はこれにて(。・ω・)ノ