とまのす

寺社に行ったり、祭りを見たり、ちいさくゆっくり民俗さんぽをしたりします。

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風の国の不吹堂|富山県・直坂 級長戸辺神社

有名な「おわら風の盆」も風鎮祭だと言われるように富山は非常に風というものを意識した信仰が多い。今回は、風の神を祀った級長戸辺(しなとべ)神社を訪れてみた。


富山と風

富山には局地風というやつがある。局地風とは、地形・気候上の理由から非常に狭い範囲でのみ吹く強い風のことだ。

局地風にもいろいろあるが、小学校の時に社会の授業で習った「やませ」や阪神タイガースで有名な「六甲おろし」が有名かと思う。

我らが群馬県に「赤城おろし」や「榛名おろし」「からっ風」が吹くように、富山にもいくつか局地風がある。有名なのは「庄川おろし(井波風)」。これは南砺地方(白川郷の合掌造りがあるあたり)で春・秋に猛威を振るう南風だそうだ。この井波風は「フェーン現象」が原因であると言われている。

風の吹かない地方の人は「なにを風くらいで」と思うかもしれないが、看板は曲がるわ、ゴミ(むしろゴミ箱)は吹き飛ぶわ、車も風にハンドルを取られ、通行人は風圧で歩道から押し出される始末である。もちろん、農業にも多大な影響がある。

東京に引っ越した時に洗濯バサミなしでハンガーに洗濯を干し、ほんの そよ風で「きゃー!風つよ!」と言っている東京女子を見て愕然としたものだ。

さて、富山の各地にはこの風を何とかするため「不吹堂(ふかんどう、ふかずどう)」と呼ばれるものが点在している。

本当に小さな祠から、しっかりとした大きな神社までバリエーションは色々あるわけだが…今回訪れたのは、直坂にある級長戸辺神社である。

 

直坂 級長戸辺神社
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シナトベ(またはシナツヒコ&シナツヒメ)は、女神・イザナミから生まれた風の神様。生まれたといっても出産したわけではなく、イザナミが朝霧を払うために吹いた息から生まれた神様である。

神社の敷地に入ると、道端に居るお地蔵さまとのような感じで覆いに入った弁天様が。しかも結構造りが細かい。

花が新鮮な所を見ると、このあたりの人によく拝んでもらっているようだ。
(*´ω`*)
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拝殿の裏に回ってみるが、やはり今回の富山で訪問した他社と同じく裏手はサッパリしたもので、末社や道祖神や馬頭観音などは全然ない。

 

舟倉用水 弔魂碑

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大きな弔魂碑がある。

蚊がすごすぎて裏まで見られなかったが、『大地を拓く 舟倉用水』(平成21年刊行)を読むと用水工事の殉職者のほか、用水の決壊で押し流された犠牲者などの名前も刻まれているそうだ。

ちなみにこれ↓がその用水路。

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この用水路ができたことで非常に地域は助かったそうだが、江戸時代にこれだけのモノを作るにはやはり数人が亡くなったそうである。

また、大雪後の“江ざらえ”など維持にもかなりの労力はかかったそうだ。

さて、こちら↓が級長戸辺神社の拝殿内。
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始発で行った甲斐あって、朝日が差し込み爽やかな雰囲気である!この画像ではよく見えないかもしれないが、扁額の左側に仏像のような写真が飾ってある。

仏教圏だけあって神仏集合で、この神社にも何か本尊があったのだろうか。(完全な想像です…)

 

おわりに:風と蚕と

 さっきは悪風・暴風と呼ばれるような風の「悪い側面」の話ばかりしてしまったが、強風というやつは家屋を破壊し火事を拡げる「荒ぶる力」であるとともに、季節を運び 作物を成長させる「恵みの力」でもある。

そしてさらに、蚕の名産地であった富山では風は必要不可欠。高い屋根の中で飼っている蚕に新鮮な空気を運び、また蚕のゴハンである桑葉から害虫を吹き飛ばす蚕の守り神でもあったのだ!

信仰というのは「自然の力の大きさ」だけでなく、産業や経済とともに成長・進化していくもの。それを非常に感じた富山滞在でしたとさー。

しばらく更新さぼってましたが、これで富山シリーズはいったん終了(*'ω'*)