とまのす

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「マレビトの構造」鈴木満男

 今日の読書はこれ。

鈴木満男『マレビトの構造―東アジア比較民俗学研究 』(1974年)




マレビトとは客人と書くこともあり、彼方から来訪する者のこと。その「彼方」は死者が住まう常世で、そこから来るのは祖霊や神。「来訪神」と同義とされることも多い言葉だ。

今回、この本を読んで「他界観」というか死後の世界と現世の位置関係のイメージが変わった。

断片的ではあるが、気になった部分をメモとしてまとめておきたい。

 

●沖縄と東南アジアの信仰

・沖縄のニライカナイ信仰とポリネシアの「ハワイキ」はとてもよく似ている。

・ミロク信仰とメラネシアの船荷儀礼(カーゴ・カルト)も

 海上他界・来訪神・世直しといったキーワードでつなげることができる。

 

参考:宮田登『世直しとミロク信仰』、柳田国男『みろくの船』

   柳田国男・中沢進一『海上の道 (角川ソフィア文庫)

 

・沖縄本島と宮古・八重山諸島の間には「宮古凹地」がある。

 そのため本州から沖縄本島まで伝播した弥生文化は八重山諸島に行きつかず、

 本島よりむしろ台湾やフィリピンとの共通する風習や道具も多い。

 

●八重山諸島付近の神と行事

・竹富島ではユーンカイ(世迎え)という神事があり、

 穀物の種子を八重山にもたらしたニーラン国の神々を迎える儀式とされている。

 

・新城島の豊年祭(プーリィ)では

 来訪神のアカマタ・クロマタ(二―ルの人=ニールピトゥ)への祈願が行われる。

 

・石垣島:川平の年替わりの節祭(シチィ)では

 真世神(マユンガナシィ)である元(ムトゥ)と供(トゥム)が一組となり

 一時間近い神託を唱える。

 また四ヶ村の村プーリィでは五種の種子を神女に渡す異形の翁神がみられる。

 

・このように神に扮することで信仰される神の他

 ニランタフヤン(ニライの大親)と呼ばれる姿は表わされない神も存在する。

 

・八重山は沖縄諸島の中でも最も芸能の発達した島。

 その芸能は信仰と決して不可分なものである。

 また琉球王朝の大和芸能推奨の影響もあり鼓や馬術なども八重山で行われた。

 

●海からの来訪というビジョン

・神様や天使は天から降りてくる。悪霊や死者は地下暗い黄泉の国にいる。

 と、どうしても思ってしまうのはなぜなのだろう。

・日本神話の根の国(イザナミが住まうようになった場所)のイメージ?

・沖縄ではマレビトのことを「ニールピトゥ=根の国の人」と呼ぶし、

 彼らはスク(底)からやってくると言われている。

・しかし彼らは船に乗り、海の向こうからやってくるとされている。

・天上・地上・地下という垂直軸で神を考えればスク(ソコ)は地下と繋がるが、

 水平軸でとらえればスクは決して地下遠くの暗い場所や海の底でなく

 単に「遥か彼方」という意味である。

 

現代では、なんとなく「亡くなった後」の世界は空の上にあるというイメージだと思う。管理人は海なし県で育っているせいか「古くからの他界観」といっても思い浮かぶのは山上他界だ。

亡くなった人の魂は山の頂上付近に上がっていく。この考え方も一応「地上」という意味では水平軸かもしれないが、やはり亡くなった人は山の上なり空の上なり「上へあがっていく」イメージがあった。

今回、海に囲まれた地域での来訪神について読むことで、この「垂直軸」の世界観から出て「水平軸」の世界を知るきっかけになった。